講師:桂 博雅
in CP+2019 day1-2
長時間露光専門SNSを運営する桂博雅さんのセミナー。桂さん自身が撮る作品は、主に都市風景と自然風景。本セミナーでは、桂さんが一番好きな海景をテーマに、フィルターワークで印象的な作品を撮る方法についレクチャーしていただきました
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桂 博雅 / SNSコミュニティ LONG EXPOSURE JAPAN 運営代表
空と海のある風景が好きで、一眼レフを購入し風景写真を撮り始める。その後、海外フォトグラファーの長時間露光写真を見たことがきっかけで、長時間露光の世界に魅了され、関東近郊の海岸で撮影をしている。
長時間露光撮影との出会い
桂さんが運営する長時間露光専門のSNS、LONG EXPOSURE JAPANの紹介の後、桂さん自身が長時間露光を始めたきっかけについてのエピソードを紹介。
「初めて長時間露光で撮影された作品と出会ったのは、2014年、海外のSNSで見た作品でした。それから、これはどうやって撮っているのだろうと自分で調べながら撮りはじめました。はじめは丸型のNDフィルターを使っていましたね。
NiSIの角型フィルターに出会ったのは2015年です。海外のプロの写真家が使っているのを知っていたので、見つけたときに迷わず購入を決めました。現在使っているのは、V5 PROのCPLキットとND1000、GND16の2枚。ぼくの作品はこの2枚だけで撮影しています」
海景でのフィルターワーク、2つの手法
海景撮影のフィルターワークとして、2つの手法を紹介。
ひとつは、100〜120秒くらいの長時間露光によって、雲や波の動きを捉える方法。ND1000を使用して、シャッタースピードを調節します。もうひとつは、1/2秒〜1秒位のスローシャッターで波の動きを表現する方法。こちらはGNDフィルターを使って空の部分の露光を抑えつつ、波の動きを捉えます。
それぞれの作例を示しながら、撮り方や作品の狙いを解説してゆきます。
手法1:120秒前後の長時間露光で雲と波を描写
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「ND1000は露光時間を長くするために使い、GNDは、画面内の明暗差がある太陽光や空の白飛びを防ぐために使います。NDフィルターによる長時間露光の魅力は、まず、雲の様々な動きを捉えられること。雲は、放射状に広がる、横長に広がるといった様々な動きを見せてくれます。
さらに、海景の最大の魅力は波の描写。長時間露光することで、雲海のように幻想的な雰囲気になる。この作品では120秒位露光しています」
また、NDフィルターを使うと空の青や夕日のオレンジを強調して撮ることができるとも言います。
「NiSIフィルター使ってから、レタッチのときに色が出しやすいので楽なんですよ。フィルターを使うことで、色調の面でも印象的な作品が撮りやすくなります」
手法2:スローシャッターで波の軌跡を撮る
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次に、1〜1/2秒のスローシャッターによる作例の紹介です。
「GNDフィルターは、上の空の部分と下の海や岩などの暗い部分との明暗差を埋めるために使います。スローシャッターで波を撮りながらも、空の色もちゃんと出せるようにNDの部分を当てます」
空と海や陸地の境目が水平でない場合でも調整できるのは角型フィルターならでは。
「構図の中に斜めに岩があったり、NDを使いたい部分が必ずしも水平ではないこともありますよね。そういうときにNiSIの角型フィルターだと、ホルダーを回転させられるので、斜めにグラデーションをかけることもできるんです」
海景を撮るために、千葉や伊豆によく撮影に行くという桂さん。
「こうした波の軌跡を撮るのが好きで、砂浜でよく写真を撮ります。印象的な波の動きを捉えて、短いシャッタースピードでも印象的に撮るのがぼくの撮影スタイルです。
波を捉えるポイントは、白波、つまり泡が立っていること。泡が多いほど撮りやすいんです。あまり多すぎると真っ白になってしまいますけれど。
特に引波を撮るとおもしろくて、一度撮るとやめられなくなります。また、岩などの障害物を避けた波の瞬間を捉えるのもまたおもしろい写真になりますよ」