講師:清田大介
in CP+2019 day1-4

アートフォトとしてのポートレイトで数々の受賞をしている清田さん。本講義では、NDフィルターのポートレイト撮影での活用法を紹介。NDフィルターによるポートレイトの新たな表現の可能性を語っていただきました。

清田大介 / Webデザイナー兼フォトグラファー
2014年にWeb制作会社を起業、2016年より一眼レフカメラによる撮影を取り入れ、クライアントの良さやオリジナリティをより引き出すデザインを提案。最近では、ブランディングが必要な経営者、アーティスト、モデル、表現者のプロフィール撮影、各種宣材撮影、CDジャケット撮影などの撮影が多数。TIFA、IPAなど国際的なコンテスト、東京カメラ部など多数のコンテストなどに入賞。雑誌、書籍への執筆、展示会も多数開催。
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ポートレイト撮影の2種の光、「環境光」と「人物に当てる光」

清田さんの作品は、いわゆるポートレイトとは少し違い、海外だと「ファインアート」に分類される作品です。ふだんの撮影は、モデルさんをメインに、メイクさん、衣装さんと共にスタジオで撮影するスタイルです。

「去年1年間はスタジオにこもっていました。ロケでの撮影は、光のコントロールが難しいので、まずは光のコントロールがしやすいスタジオで練習しようというのが去年1年間やっていたことです。それもだいたいクリアできたので、今年はロケでの撮影もやってゆこうと思っています」

1枚目の作例は、NiSi「ナチュラルナイト」フィルターを使ったロケ作品。「ナチュラルナイト」は、夜間・星景撮影時の「光害」をカットし、自然な色を再現するフィルターです。

「このフィルターが無いと、画面全体が黄色くなるんです。星空はブルーに撮りたいので、「ナチュラルナイト」とCPLフィルターをつけて撮影、人物にはストロボを2灯炊いています。

ポートレイトでは、2つの光、環境光と人物に当たる光を考える必要があります。

まず、星を撮る。これは環境光です。星を撮るには新月がいいのですが、それだと富士山が撮れない。だから月明かりが少し使える半月の日と時間、このときは夜中の2時−3時頃を選びました。富士山と星が撮れたところで、モデルさんに入ってもらって、ストロボで撮影しています」

理想の露出、シャッタースピードのためにNDフィルターを使う

次の写真は、タイでのロケ写真。

「こちらもNDフィルターとストロボを使った作品です。これらを使う理由は、全体の光をコントロールすることで、自分の個性や作品性を表現できるから。環境光=太陽光と人物に当たる光 ( ストロボ ) をコントロールすることで、自分が望んだコントラストや露出に設定できるんです」

「NiSiのNDフィルターは、逆光耐性が強く、透過率がいいのでストレスなくきれいに撮れます。この写真の状況だと普通に撮ったら空が飛んでしまいますが、ND8を使うことで、暗いところが整理されて色被りもしていない。人物用にはストロボを1灯焚いています。

ほぼ撮って出しでここまで撮れています。

スタジオで撮る場合には自分が理想とする露出、シャッタースピードで撮影できます。僕の場合はF8、1/160、ISO100が理想で、これを基本に、被写体や目的によって調整して決めています。NDフィルターを使うのは、ロケ先でもその設定に近づけることができるように、太陽光を調整するためなんです」

ストロボで人物を止める

次の写真のポイントは、環境光と、ストロボで人物をどう止めるかという点と語る清田さん。

この撮影では背景にスモークを炊き、背景は白、NDフィルターで露光時間を長くして、ストロボを2回焚くことで、モデルさんが2重に写っているそう。画面のブルーの書き込みがストロボの瞬間光、ピンクの書き込みが背景の環境光です。

「NDフィルターをつけて8秒間露光をしています。ストロボは全体、モデル、背景のスモーク、地面にそれぞれ1灯ずつ、早い瞬間光を2回光らせています。そうするとで背景に影響がないかと質問されるんですが、ストロボは瞬間光なので、露光時間が5秒でも10秒でも変わらないんですよ」