開催レポート
講師:米津 光+長瀬正太

日本における長時間露撮影の第一人者とも言える写真家、米津光さん。氏の作品に衝撃を受け、長時間露光をはじめた長瀬正太さん。このお二人によるセミナーが2019年3月、東京で開催されました。テーマは「長時間露光の新たな表現を求めて」と「長時間露光のレタッチ術」。お二人のプリント作品争奪のじゃんけん大会や活発な質疑など、とても充実したセミナーとなりました。

セミナー募集告知

撮影:池田 昌広

第1部 米津光「長時間露光の新たな表現を求めて」

撮影:池田 昌広

朝10時、米津さんによる長時間露光セミナー「長時間露光の新たな表現を求めて」からスタート。スライドを見せながら、フィルム時代にはじめた長時間露光の話のあと、撮影の基本からレクチャーをスタート。
機材の話では、風よけには雨傘が必須、機材はシンプルな方がいざというときに勝負が早い(レンズは2本だけ)、ピントを合わせたらテープで止める、など実践的なアドバイスが多数。

フィルターに関しては、3枚揃えるなら、ND8、ND64、ND1000。1枚だけなら、ND32000。昼間の撮影ならばこれでカバーできるとのこと。その他絞りについてなど、すぐにでも実践したいポイントがレクチャーされました。

つづいて、被写体の選び方、構図、色調、濃度など、作品を構成する各要素について説明。
個性的な作品を作るための心構えとしては、「常識を鵜呑みにしない」「人がやらないこと、反対のことをやるほうがいい」など、作例なども示しながらまさに「米津節」全開、作品の持つ説得力にみなさんうなずくばかりといった印象です。

レタッチに関しても、どこまでやってはいけないなどと気にすることはなく、せっかくこういう時代に生きているのだから、できることは何でもやれば良いという考え方を披露。何かにとらわれることのない、自由な発想こそが創造性につながるのだと教えてくれました。

昼食後、希望者による自作品の講評会を開催。良い点を指摘しつつ、もっとこうすればもっとよくなるといったアドバイスが行われていました。

第2部の前には、米津さん、長瀬さんのプリント争奪じゃんけん大会を開催。4名の方が作品を獲得しました。

第2部 長瀬 正太「長時間露光のレタッチ術」

昼食を挟んで、参加者作品の講師によるレビュー、作品争奪じゃんけんのあと、長瀬さんの講義がスタート。

現像からレタッチに至る基本的な考え方、ツールの選び方、設定、手順など、初心者の方にもわかるようにていねいに解説。レタッチを「色の補正」「光の補正」「構図の補正」に分けて、各ポイントについて、作例を交えながら明快に解説しました。

ツールに関しては、Lightroomを使うのか、Bridgeを使うのか、プレビューファイルはどうするかなど、かなり具体的なポイントを参加者とともに議論する場面も。

最後の質疑のコーナーでは、米津さんも参加して、お二人それぞれ回答する質問コーナーとなり、受講者の方々が積極的に参加されたセミナーとなりました。

撮影:池田 昌広