文と写真: Ole Henrik Skjelstad

ノルウェイの数学教師にして、ランドスケープ・フォトグラファーの Ole Henrik Skjelstad氏による、可変ND VARIOを使用した撮影TIPSです。絞り、ISO、シャッタースピードに加えて、露出をコントロールする第4の変数としての可変NDフィルターという視点から、ND VARIOの使い方を紹介します。

第4の変数としての可変NDフィルター

NiSi可変NDフィルターをレンズに装着することは、カメラに5枚の減光フィルターを付けるのと実質的に同じことです。つまりそれは、露出のトライアングル――絞り、ISO、シャッタースピードに加えて、4つ目の変数が加わるということです。これを使いこなすことで写真に新しいチャンスが生まれ、撮影がぐっと楽しくなるでしょう。

装着は至って簡単で普通の円形フィルターと同じねじ込み式です。豊富なサイズで最大口径95㎜にまで対応、調節レバーを使えば意図する最適な減光量にスムーズに調節ができます。

例えば日の出の時間帯に30秒間露光し、水面を滑らかな表情で表現したいとしましょう。絞りはf11、ISOは100に設定します。ライブビューモードで、30秒露光が適正になるまでNDの濃度を調節します。日が昇り始めてあたりが明るくなってきたら、フィルターの濃度をレバーで調整するだけで、カメラの設定を変えずに、希望通りの30秒の露光時間を確保できるのです。

私が住む北欧の日の出には少なくとも3つの段階があります。まだほの暗いうちに最初の暖色調が現れます。この時間帯は5段の減光だと露出アンダーになってしまうので、1.5段当たりが最適な減光量となります。

約2段の減光で30秒露光

水を滑らかにする表現と、背景のシャープなデティールを両立させるには

個人的には、滝と川の流れを滑らかに表現すると、写真はぐっと気持ち良い仕上がりになると思います。ただ状況によっては、滝をあまり滑らかにしてしまうと、逆にディテールが失われてしまうので、何度も撮影してみながら最適な表現を探ります。

滝を取り巻く景色の細部までしっかり描写を残しながらも、水の流れにふわっと滑らかな効果も出したい。可変NDなら簡単にその両方の描写を得られます。後からPhotoshopで2枚の画像を合成すれば良いのです。

水は0.6秒露光、樹木部分は高速シャッター

水辺の描写には欠かせない隠れたスペック=撥水効果

NiSiの可変NDフィルターは高品質で造られており、色被りが極めて少なく、画質劣化もありません。光学性能は極めて良好です。そしてナノコーティングによる撥水効果が優れていることが、滝の撮影では極めて役に立ちます。

5段減光、8秒露光

ND VARIO

ND VARIO 減光量を無段階に調節可能な可変NDフィルター

光学ガラスと薄型フレームを採用。可変域と画質のバランスを考慮した設計により、従来の可変NDの問題であった高濃度域でのX状の減光ムラを解消しました。ガラスの表面には撥水・撥油・反射防止コーティングが施され、メンテナンスもかんたんで使いやすい可変NDフィルターです。1.5~5 stops (ND3〜ND32) と5~9 stops (ND32〜ND500)の2モデルをラインナップ。