文・作例写真:渡辺 守
ソフトGNDとミディアムGNDを使い分ける

GNDフィルターには、グラデーションの種類が「ソフト」「ハード」「ミディアム」「リバース」の4種類があります。この中で、多くの質問が寄せられるのが、「ソフト」と「ミディアム」の使い分け方法。その問いに対して、山梨県で富士山を撮り続ける写真家・渡辺守さんから、明快でわかりやすい選択基準を教えていただきました。

左:ソフトGND 右:ミディアムGND

GNDフィルターの選び方

GNDフィルターのグラデーション域は、メインで撮る「被写体」や「画角」で選ぶことをおすすめします。以下は、私がフィルターを選ぶ際の基本的な選択基準です。

  1. 地平線や水平線がはっきりしているような場所で撮ることが多い方は「ハード」や「リバース」
  2. 風景を広角で撮ることが多い方は「ミディアム」や「ソフト」
  3. 風景でも起伏の大きな山岳写真を撮られる場合は「ソフト」
  4. 風景で広角だけではなく50mm以上の標準からやや望遠域で撮られる方は「ミディアム」

今回は、ミディアムとソフトの使い分けについてご説明します。

レンズの画角によるグラデーション領域の違い

レンズの画角とソフトGND/ミディアムGNDの組み合わせによるグラデーション領域の違いを見ていきます。

作例:18mm ソフトGNDで撮影

焦点距離18mmでミディアムグラデーションのGND8を使用。地上部にはグラデーション域が掛からないようにして空と地上の明暗差を埋めてあります。

下の画像は、作例で使用しているミディアムGNDのグラデーション領域を示したものです。

ミデイアムGND、50mmの場合のグラデーション領域

次の画像は、同じ場所で50mmに寄った場合のグラデーション領域です。こちらの場合でも、空と地上の暗部の明暗差を埋める事ができています。

ソフトGND、50mmの場合のグラデーション領域

同じ画像で、ソフトGNDを使用した場合のグラデーション領域です。グラデーション領域が広いために、明暗差を埋めきることができません(透明域は、画面の外にはみだしています)。

まとめ

風景で広角だけではなく50mm以上の標準からやや望遠域で撮られる方にはミディアムGNDをおすすめします。
被写体の地形や画角によってグラデーション域を選ぶことで、イメージした通りのフィルター効果を得ることができます。

GNDフィルター

フォトグラファーからのフィードバックを反映させた、理想的なグラデーション
GNDフィルター は、風景写真家のために特別に設計されました。Nano IR コーティングを施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。

渡辺 守 Mamoru Watanabe

富士山麓の山梨県富士河口湖町生まれ。富士を庭石のように感じつつ育つ。高校、専門学校卒業後、都内の有名料亭・ホテル等で日本料理の料理人として修行、地元に戻り蕎麦屋を起業。お客様の職業カメラマンやアマチュアカメラマンに感化され、富士山をメインに撮り始める。日本料理師範としての歳時記等を大切にし、独自の視線から撮影している。

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