ドクター・リンの写真世界 vol.4
太陽光の下でダイヤのような光を放つ、氷と火の合唱
アイスビーチ(Ice Beach)は、ダイヤモンド・ビーチとも言われている。アイスランドの南岸の最も有名なスポットの一つだ。水晶の様に透明な氷の塊が火山岩の風化によって侵食された黒い砂浜にたどり着き、太陽光の下でダイヤのような光を放つ、まさに氷と火の合唱である。
アイスビーチの向こうには有名なヨークルスアゥルロゥン氷河湖(JKilsarlon Glacier LKoon)があり、多くの観光客を惹きつける。しかし、アイスビーチで個性的な作品を撮るのは容易ではない。アイスランドは天気が変わりやすく、常に曇りや嵐になり、冬の気候はさらに不安定で、前触れもなく吹雪が来襲する。しかし、このような変化の多い天気は、時に劇的なシャッターチャンスを生み出す。
ここでは氷と波が写真の主な構成要素であり、その為、選ぶ氷の形と大きさ、配置、構図上の氷と波の流れの軌跡は非常に重要だ。
![](https://photographer-dev.nisifilters.jp/wp-content/uploads/2019/06/4-1.jpg)
三つの氷の塊は三角形を形成し、見る人の視線は自然とこれらの氷の間をめぐる。
また、引いた波は対角の案内線を形成し、見る人の視線を氷の塊に導く。主役である氷(体積の一番大きいもの)の周囲に回り込んでいる浪紋は、見る人の視線をこの主役に集める。
![](https://photographer-dev.nisifilters.jp/wp-content/uploads/2019/06/4-2.jpg)
ここの氷はZ字のように配置され、見る人の視線を引き止める効果があり、かつ氷の間へと誘う。
同時に、平行線の波紋は右から左への動感を強め、あたかも氷が競走しているかのようである。
![](https://photographer-dev.nisifilters.jp/wp-content/uploads/2019/06/4-3.jpg)
巨大な氷を写真の主役にし、氷の周りを波が回り込んだ瞬間を撮影し、非常に強い躍動感を形成している。
これら三つの例が典型的な構図の教材ということではない。アイスビーチは創作の可能性が無限にある。そのインスピレーションをあなた自身が感じ、実験してみることが大事だ。
以上、3枚の作品は、ND8、及びソフトGND4を使用している。朝日が昇る前後に、適切な絞りとISO感度を合わせ、3段のNDフィルターで少しシャッタースピードを遅くして0.5から2秒ほどにする。早朝の空と海の輝度差は小さいため、2段のソフトグラデーションフィルターがあれば程よくバランスがとれる。
INDEX–ドクター・リンの写真世界
- 火のように赤いホースシューベンド - アメリカ・アリゾナ州
- ノルウェーで最も美しい漁村 - ノルウェー・ハムナイ
- キルキュフェットル滝の日の出 - アイスランド・スナイフェルスネス半島
- 氷と火の歌 - アイスランド・アイスビーチ
- スコーグサンデンの明暗 - ノルウェー・ロフォーテン諸島
- 流水の長時間露光撮影
- 黄昏時のアービスコ峡谷を長時間露光で撮る – スウェーデン・ラップランド地方
- 赤い土地の日没 – 中国雲南省
- スコーグサンデンの憂鬱 – ノルウェー・ロフォーテン諸島
- リフレクションで唯一無二の作品を – 北ノルウェー
- 青い台地の日没 – アメリカ・アリゾナ州
- 暴風雨前夜の「悪魔の歯」- ノルウェー・セニヤ島
- セニヤ島の秋色 – ノルウェー・セニヤ島
- Uttakleivの笑顔 – ノルウェー・Uttakleivビーチ
- スコーグサンデン-ノルウェーで一番美しいビーチ