ドクター・リンの写真世界 vol.17

Canon 5D Ⅲ, Canon 100-400mm @100mm, f/16, ISO: 100, SS: 0.6秒, V5ホルダー, ND64

カメラを並行移動させて、印象派の絵画のように仕上げた

この作品は中国雲南省の東川紅土地で撮影した。土壌には鉄とアルミの成分が多いため、まぶしい赤紅色が形成され、また様々な農作物が地面を色彩豊かに分割し、壮観な眺めである。夕方頃に、紅土地の名所に到着し、この日鮮やかな日没は出なかったものの、目前の景色は依然として美しかった。紅土地の色や地形をより面白く表現してみようと、カメラを並行移動させるテクニックを用いて、印象派の絵画のような写真に仕上げた。

印象派撮影は風景を抽象化し、見る人を写真のパターンや形、色に集中させる。印象派の撮影手法は非常に多様で、スローシャッターを用い、水平や垂直方向にカメラを動かす撮影方法が最も一般的だ。このような撮影手法は、主に色やパターンを表現するのに適していて、カメラを垂直移動して森林を写したり、水平移動させてビーチを写したりというのも一般的だ。

この時は光が少し強かったのでND64を使用して、露光時間を0.5秒から2秒位まで伸ばし、カメラを水平移動させて撮影した。紅い土地と浅黄色の農作物と、緑の芝生のある、色彩が比較的豊かな区域を撮影場所とし、期待した効果を得るために何度もテストを繰り返した。異なる速度と方向にカメラを動かしながら、最初は左向きに振り、次は右向きに、今度は左右に揺れ動かす方法を試みた。この作品はシャッタースピード 0.6秒で、狭い幅でカメラを左右に揺れ動かしながら撮影したもので、最適な効果を得ることができた。画面を抽象化しているが、見る人はこの光景が紅土地だとわかる。この印象派の作品は、明確な影や輪郭線が見えないので、より色彩や地形に集中できる。