金武武の花火月誌 3月

花火と祭りはとても親しい存在ですが、今回は節分のお祭りに伴う花火大会です。大会の規模だけでは測れない見どころや、撮影する観点からの紹介は、金武さんならでは。水面に映る花火の美しさに魅せられます。

水中花火(7号玉)と水面の輝きを撮るためにHard GND8を使用して撮影した
OLYMPUS OM-D E-M1Mark2、ISO200、BULB:30秒間、F8、Hard GND8 レリーズ 三脚使用

節分に開かれる、芦ノ湖の花火大会

神奈川県の芦ノ湖では毎年2月2日に「節分祭奉祝花火大会」が行われています。
芦ノ湖に隣接する箱根神社の「節分祭」の前夜祭として開催されているのです。

花火は元箱根港沖に打上台船2隻を浮かべ、テンポ良く打ち上げる「早打ち」、2か所同時に打ち上げる「ワイドスターマイン」、そして「水中花火」もあります。
最大打上サイズは4号玉、打上時間は15~20分程度とけして大きな花火大会ではありません。
しかし、打上台船と湖畔の観覧場所が近いため4号玉でも充分に迫力を楽しむことが出来、見応えがあります。エンディングの2か所同時打上げの錦冠菊ワイドスターマインでは夜空一面が錦色の光に覆われます。スマートフォンで撮影しようとしても花火全体を入れることは難しいでしょう。
きっと超広角レンズが使用できるカメラが欲しくなるのではないでしょうか?

風の無い芦ノ湖の様子

通常、花火大会では風が無いと煙が溜まり花火が見えづらくなります。芦ノ湖でも同じですが、風が少し弱めの方が良い事もあります。風が弱いと湖面の波が弱まり穏やかになります。その穏やかな湖面に花火が映ると美しい模様を描き出してくれるのです。
特に水中花火は半円球の花火と湖面の映り込みが素晴らしいと感じます。

水面の輝きを美しく撮るために、GNDフィルター

水中花火を一般的な撮影方法で撮ると花火は綺麗に写るのですが水面の輝きがどうしても暗く写ってしまう事があります。私は明るい花火と暗くなりがちな水面の輝きの明暗差を出来る限り無くすためGND8ハードタイプを使用します。GND8ハードタイプのND部分を上側にして花火の明るさを抑える工夫です。水面には透明ガラスが掛かるよう境目を水面ギリギリに調整します。
これで明るさのバランスが取れ花火と水面の両方が綺麗に写せるのです。

Hard GND8のND部分を上向きに装着した様子

元箱根港で花火撮影をされているカメラマン達の機材を拝見すると超広角レンズに角形フィルターホルダーを装着している人達を見かけるようになってきました。フィルターの種類までは分かりませんがおそらくNDフィルターを装着されているのでしょう。
花火の撮影にはNDフィルターが必要だという事を理解されている人達が増えてきているのだと感じます。

数年前までは超広角レンズにはフィルターが使用できないことが当たり前でした。
しかし、NiSiとの出会いで超広角レンズでもフィルターが使用できるようになったのです。NiSiには各メーカーの様々な超広角レンズで使用できるホルダーが用意されています。
ご自身の所有されている超広角レンズにも合うホルダーがあるかも知れませんよ。

GND

風景写真家のために特別に設計された、Nano IR コーティングが施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。
構図に合わせてフィルターをかける位置を調整することができるため、表現の幅をより一層たかめてくれます。

金武 武 Takeshi Kanetake

写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表に加え、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も行う。1963年神奈川県横浜生まれ。

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