金武武の花火月誌 4月

年に16回も開催される熱海の花火大会。特別プログラム以外は毎回同じ進行となる大会は、花火を撮影する人にはとても好都合でもあるそうです。

ISO200 F13 20秒 三脚・レリーズ使用 ハード GND8 /エンディングの大空中ナイアガラ。ハード GND8を使用して花火のみにNDフィルターを掛け水面はNDを掛けていません。

尺玉を至近距離で観覧できる大迫力

熱海では今年(2019年)16回も花火大会の予定があります。
主な観覧場所は熱海サンビーチとヨットハーバー前の親水公園です。
打ち上げ時間は20時20分から20~25分間とコンパクト。
最大打ち上げサイズは尺玉。
花火を打ち上げる場所は親水公園の約500m先にある堤防(防波堤)です。
明るい時間に会場に到着すると堤防上には花火の筒が幅広く設置されている様子が見られます。

ISO1600 F4、1秒 手持ち撮影 / 親水公園の前はヨットハーバーになっています。その先の堤防上に花火が設置されているのです。

尺玉は上空300m前後まで上がっていき上空で開花した時の直径は280~330mにも広がります。
その尺玉を約500mの至近距離で観覧できるのですから大迫力は間違いありません。
また背後3面を山に囲まれているため音の反響が素晴らしいのです。
3月31日には静岡県の煙火業者8社の花火を打ち上げるプログラムが組み込まれました。
夏には二尺玉が一発加わる事もあります。
上記の様な特別ブログラム以外は毎回ほぼ同じブログラムで進行されます。
これがカメラマンにとっては嬉しいのです。
何度も通う内に次に上がる花火に合せて構図や露出の設定が出来るようになります。
一般的な花火大会のように年に一回しか開催されないと次に来た時にはどんな花火が上がるのか忘れてしまっているなんてことが多々あります。
熱海海上花火ではいきなり尺玉が打ち上がる錦冠菊花火のワイドスターマインでスタートします。
初めて見る人達はその迫力に驚く事でしょう。
この時点で尺玉がフレームからはみ出ないように構図を決めピントを合わせます。 そして数秒後に再び上がってくる尺玉の昇り火が見えたら撮影開始です。
オープニングの「錦冠菊ワイドスターマイン」と途中に上がる「デジタルスターマイン」そしてエンディングの銀冠菊尺玉をワイドに打ち上げる「大空中ナイアガラ」は打ち上げ構成が毎回似ています。会場アナウンスを聞きながら次に上がる花火に合せて構図や露出を決めておくことができます。

ISO100  F9.5 8秒 三脚・レリーズ使用 ND4  / 色鮮やかな単発打上花火

花火と海の輝きを一緒に撮りたい時にはGNDフィルター

花火だけを撮影する場合、基本の最低感度ISO100のカメラにはND4フィルター、ISO200のカメラにはND8フィルターを装着し撮影しています。
花火と海の輝きを一緒に撮りたい時にはGNDフィルターを使用する事もあります。私が気に入っているGNDフィルターはハードGND8です。
ISO100のカメラでもISO200のカメラでもハードGND8を使用し露出の微調整は絞りで行います。
GNDフィルターの使用方法は上方の花火にNDを掛け下側の海は透明ガラス部が掛かるように装着します。GNDフィルターの良いところはフィルターを上下にスライドさせて好みの位置で止められます。丸形ハーフNDフィルターでは出来ないことなのです。

GND

風景写真家のために特別に設計された、Nano IR コーティングが施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。
構図に合わせてフィルターをかける位置を調整することができるため、表現の幅をより一層たかめてくれます。

金武 武 Takeshi Kanetake

写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表に加え、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も行う。1963年神奈川県横浜生まれ。

●著作等

Webサイト