埼玉県・嵐山さくらまつり花火大会
金武武の花火月誌 5月

ライトアップされた夜桜と花火といえば、絶好のシャッターチャンスです。花火に加えて、ライトアップされた桜を撮るにあたっては、明るさを調整するためのコツがあります。

桜並木と菜の花が楽しめるところもある。

満開の桜並木と花火

漢字で「嵐山」と見ると「あらしやま」と読み京都をイメージされる人が多いでしょう。
じつは埼玉県にも嵐山があり「らんざん」と読みます。
埼玉県嵐山町では約2kmに渡り252本の桜並木が広がります。
満開の桜の下を歩くと何処までも続く優しく美しい光景に魅了されます。
周囲には高い建物が無いため少し離れた場所からでも桜を楽しむことができます。
3月下旬から4月上旬にはさくら祭りが開催されます。
さくら祭りは約2週間行われ、その中の一日を「嵐山さくらまつり花火大会」として花火を打ち上げます。メイン会場では舞台が用意され歌やダンスで祭りを盛り上げます。数多く並ぶ屋台も祭りの雰囲気に花を添えています。
ライトアップされた桜と花火は誰もが撮りたがる被写体でしょう。
しかし、ここ嵐山では電源の制約があり桜並木の一部しかライトアップされていません。
ライトアップされた桜と花火をバランスよく撮るためには撮影位置が限られてしまいます。1m以上生い茂る草木をかき分けて足場の悪い河原に行くことになるのです。地面は枯草に覆われている為フカフカしていて三脚が安定しません。誰でも行ける場所ではありません。
写真を撮る事ばかりに気を取られ怪我をしてしまったら元も子もありません。
撮影場所を探すには充分に注意し周囲への配慮も欠かせません。

昇り旗が祭りの雰囲気を感じさせてくれていた。

ライトアップされた桜と花火を撮る

肉眼では夜桜も花火も綺麗に見えています。しかし、いつも通りの花火撮影方法で撮ると花火は綺麗に写りますが桜は露出不足になってしまうです。
花火はとても明るい被写体ですが一般的に桜を照らしている照明は花火程の光量がありません。そのため桜が露出不足になってしまうのです。
しかし、弱い照明でも桜を明るく撮るための方法がいくつかあります。
合成写真では無く一回のシャッターで撮る方法を一つお伝えしましょう。
ISO感度、絞り、NDフィルターは花火が綺麗に撮れる設定にします。
日が沈み空が暗くなってきたら上記の設定で桜が明るく写るシャッタースピードを探すのです。
例えば、4秒間、8秒間、15秒間、20秒間、30秒間とシャッターを開けている時間を少しづつ変えながら桜が明るく(適正露出)写るシャッタースピードを見つけます。
花火が始まったら桜が明るく写るシャッタースピードで撮り続けるのです。
今回の撮影では25秒間のシャッタースピードで撮りました。
このシャッタースピードでは激しいスターマインの場合は露出オーバーになってしまいます。
単発打上や早打ちの場合に有効な撮影テクニックです。

ISO200 F7.1 BULB(25秒間) ND8フィルター 三脚・レリーズ使用。
ND8フィルターを装着して25秒間露光する事でライトアップされた桜と花火が華やかに撮れました。

NiSi NDフィルター


風景写真家のために特別に設計された、Nano IR コーティングを施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。
NDフィルターを使用し絞り込んだ状態で撮影する時、赤外線の影響による色かぶりが問題となることがあります。NiSiのフィルターは、IRコーティングにより赤外線をカットし色かぶりを解消、自然な色合いを再現します。

金武 武 Takeshi Kanetake

写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表に加え、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も行う。1963年神奈川県横浜生まれ。

●著作等

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