群馬県佐波郡玉村町
金武武の花火月誌 8月

金武さんでもまだ行ったことのない花火があるそうで、今回もそうした大会のひとつ。しっかりと写真を撮るなら、1年目は下見、素晴らしい花火大会だと判断したら、2年目、3年目も通うそうです。さて、本大会はどんな大会だったのでしょうか?

良い雰囲気のお二人が花火を待っていました。

「初めていく花火大会は下見のつもりで行きます」

行ってみたいと想いつつなかなか予定が合わず一度も行ったことのない花火大会がいくつもあります。群馬県のたまむら花火大会もその内の一つでした。
初めて行く花火大会では何処で撮ったら良いのか迷う事があります。今回は友人の案内のおかげで最高の場所で素敵な花火を楽しむ事ができました。
花火打上場所は田んぼの中です。友人が選んでくれたのは筒場(打上場所)が見えるほど近い場所でした。
ここの花火大会で使用される打上花火の最大サイズは尺玉です。尺玉は上空280 m以上に上昇し直径280〜330mに開花する大きな花火です。
この場所で大きな花火が開花したら広角レンズでも画面に収まりきらないのではないかと感じていました。

静かな夜空に色鮮やかな花火が咲きました。
NikonD7500, ISO100, F6.7, 30秒, ハードGND8, 三脚、レリーズ使用

私は初めていく花火大会は下見のつもりで行きます。どんな花火が上がるのか? どんな演出なのか? 等々を観察します。
素晴らしい花火大会だと判断し写真をシッカリ撮りたいと感じたら2年目、3年目も通います。3年目には花火大会の特徴が解りどうやって撮ったら良いのか?どの機材で撮ったら良いのか?とイメージが湧いてきます。
行き当たりばったりでは中々良い写真は撮れないなと感じているのです。
仮に初めて行った花火大会で打ち上げ場所に近すぎて撮影が出来なかったとしても花火の迫力は存分に楽しめるはずですのでこれはこれで良いのです。
たまには撮影せずに花火を楽しみたいなァと思う事もあります。

「丁度よい」ワイドスターマイン

この日の天候は小雨が降ったり止んだりしていました。夕刻になると虫の声が聞こえはじめたり足元には小さなカエルがいたりと長閑な環境でした。

質の良い花火だという事が写真でも分かります。
NikonD850, ISO100, F6.7, 13秒間, ハードGND8, 三脚、レリーズ使用

花火は丁寧に打ち上がる単発打上や早打ち、そして花火の分量が丁度良いワイドスターマインがありました。
丁度良いワイドスターマインというのは上空から低空まで花火の数が多過ぎずまた少な過ぎず見易すくて写真も撮りやすいスターマインです。余りにも激しいスターマインでは花火の展開についていくのが大変なことがあり写真撮影も困難になります。これは私が勝手に感じている感覚なのです。
どの場面を見ても花火の形や色の変化等たいへん質の良い花火が使用されていました。
「また来年も来たい!」と感じる花火大会でした。

明るい銀冠菊花火のワイドスターマインが始まったのでF11にしハードGND8 のNDをレンズ全面に掛かるようにスライドさせて撮った。露出オーバーになっていないので拡大して見ても花火の光跡が1本1本写っている。
NikonD850, ISO100, F11, 15秒, ハードGND8, 三脚、レリーズ使用

GND

風景写真家のために特別に設計された、Nano IR コーティングが施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。
構図に合わせてフィルターをかける位置を調整することができるため、表現の幅をより一層たかめてくれます。

金武 武 Takeshi Kanetake

写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表に加え、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も行う。1963年神奈川県横浜生まれ。

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