茨城県土浦市
金武武の花火月誌 11月

昨年の10月より続いた本連載もちょうど1年、今回で最終回です。「花火は夏だけではない」という金武さんの言葉どおり、年間を通じて様々な花火大会をご紹介いただきました。最終回の今回は、茨城県、土浦からお届けします。

無事開催された、土浦全国花火競技大会

例年、9月を過ぎると穏やかな天候が続き各地で秋の花火が楽しめます。
ところが今年(2019年)は9月から10月に掛けて非常に強い台風が日本を襲い各地で大きな被害が出てしまいました。
そのため中止になった花火大会がいくつもあります。開催するにしても中止にするにしても主催者様はたいへんなご苦労があったと思われます。
最近では早めに中止の発表をされる主催者様が増えました。そのおかげで花火大会に携わる多くの人達が早めに対策を取る事ができ混乱は最小限に留まっていると感じています。

10月26日土浦全国花火競技大会に行きました。土浦も台風の影響を受け前日まで大雨でした。開催が危ぶまれましたが当日は雨が上がり開催されたのです。
たいへん人気のある花火大会ですので毎年多くのお客様が集まります。もちろんカメラマン達も大勢集まります。

NDフィルターを使用するカメラマンがたくさんいる。

NDフィルターユーザーが増えれば、花火写真が綺麗になる

カメラの準備をされている人達をチラッと拝見するとNDフィルターを装着されている人がかなりいます。
角形フィルターを使用されている人もチラホラいらっしゃいます。たいへん嬉しいことです。
以前は露出オーバーの花火の写真が広告になっていたり真っ白な花火の写真がネットにたくさんUPされていました。
しかし、ここ数年間の間にメディアやネットで拝見する花火の写真は綺麗になってきています。

レンズに角形フィルターを装着した参考例

私の仕事はカメラ雑誌やムック本または撮影セミナーなどで撮影テクニックをお伝えする機会が多くあります。その度に「花火を露出オーバーにさせないためにはNDフィルターを使用しましょう。」とお話しています。
花火の撮影にはNDフィルターが必要だということが徐々に浸透してきているのだと感じています。

大きく開花した四重芯尺玉
ISO160、F18、BULB(13秒間)、レリーズ、三脚使用、GND8

花火の撮影はどんな写真が撮りたいのか事前にイメージする事が大切です。行き当たりばったりでは中々綺麗な写真は撮れません。
素晴らしい花火大会に出会ったらその花火には何度も何度も通い花火の特徴を覚えましょう。何度も通っている内にどんな写真が撮りたいのかイメージが湧いてくるでしょう。
イメージ通りに撮るためにはどんな機材で撮ったら良いのかも解ってくるはずです。
何年もかけて撮った写真は出来が悪くても可愛いものです。愛おしく感じます。人に評価されなくても‘いいね’ボタンが押されなかったとしても良いのです。
自分が撮りたい写真を焦らずに楽しみながら追求していきましょう。気が付けば写真の腕は上達しているはずです。

ワイドスターマイン「土浦花火づくし」の一場面
ISO160、F13、BULB(20秒間)、レリーズ、三脚使用、GND8

このコラムを執筆し一年が経ちました。
今回が最終回になります。
長い間ご覧頂きありがとうございました。

日本では一年中花火が楽しめます。
夏だけでなく春夏秋冬花火の撮影を楽しんで下さい。

金武 武

GND

風景写真家のために特別に設計された、Nano IR コーティングが施された高品質な光学ガラス製のフィルターは、キズや汚れ・色かぶりのない優れた描写をもたらします。
構図に合わせてフィルターをかける位置を調整することができるため、表現の幅をより一層たかめてくれます。

金武 武 Takeshi Kanetake

写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表に加え、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導も行う。1963年神奈川県横浜生まれ。

●著作等

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